だれかに話したくなる本の話

人から話を聞くときの心構え マウンティングされたときのために

提供: 新刊JP編集部

こんにちは、新刊JP編集部の金井です。

人の話を聞くのは好きなほうだと思います。笑い話、なんてことない話、哲学的な話、政治的な話、あとは愚痴を聞くのも結構好きです。「愚痴を吐く人は出世できない」などと自己啓発本に書かれていることがありますが、精神を健全に保つために愚痴は必要でしょう。それに、愚痴を聞いていると、人が何に不満を持ち、何に鬱屈さを抱いているのかが分かるので、「あー、自分も気をつけなきゃなあ」という戒めになります。

ただ、人の話に深入りしたり、過度に感情移入したりしても良いことはありません。自分が解決策を示そうと思うこともありませんし、共感の言葉ばかり並べることもせず、「ふーん、そうなんだ」というレベルにとどめるようにしています。ただ、もしできるなら、ちょっと気の利いたブラックジョークなどを発したいのですが、そのトークスキルがないのが恨めしいところではありますが。

こうした話を聞くときの姿勢は、インタビューでお話を聞く際に試行錯誤した話の受け止め方がベースになっています。だいたい1週間に1人くらいのペースでお話をうかがってきたので、この仕事を始めてからこれまで500人超にインタビューをしてきた計算になりますが、様々な人がいました。

今回はその経験をベースにしつつ、飲み屋やバーなどで多くのいろいろな人たちとお話をしてきた中で、なんとなく自分の指針している「人から話を聞くときの心構え」について、あまたあるポイントの中から4つ書いていきます
僕はなぜかマウンティングをよく取られるのですが、そういうときもあんまり心乱さずに対応できるようになりましたので、「マウンティングされるの、もうつらい…」という人は参考にしてみてください。

(1)話している内容は「事実」と「記憶」と「推測」を分けて抜き出す

まず、話し手は「事実」と「記憶」がすべて正しいという前提で伝えることが多いのですが、実際は全く違います。「記憶」は簡単に改ざんされますし、感情がそこに乗っているので、かなり歪んだ視点でもって切り取られることがあります。

僕が最も重要視しているのは「事実」です。実際に起きた事象ですとか、数字とその変化です。特にインタビューではその事実をちゃんと抑えておくことが大事だと思っています。そして、事実はインタビューの事前準備である程度調べられるので、話を進めながら照らし合わせていく作業になることも多いのです。

もう一つの「推測」は、悪く言えば「話し手にとっての都合のよい解釈」です。「こうなんじゃないかなあ」というものですね。引きが強い言葉が出やすいポイントであり、見出しになりやすい部分です。また、頭の良い人は、データや客観的事実に裏打ちされているため、「推測」の精度のレベルが非常に高い傾向にあります。

その逆で「推測」の精度が低いと「残念な人」になるのですが、推測の言葉を全く出さない人よりも、堂々と推測して間違える人の方が人間的な好感度は高いです。

(2)熱い言葉や否定の言葉を真正面から受け止めない

普通に生きていると「だからお前はダメなんだよ」「お前は分かってないな、バカだな」などと言われることが結構あります。また、自己啓発よろしく「もっと自由に生きてみよう!」とか「一歩踏み出そうぜ!」などと言われることも…まあそれはないか。

熱い言葉や否定の言葉の中には「早く俺好みのお前になれ」「俺の言うことを聞け」という「俺の主義主張を正当化しろ」というニュアンスがはらんでいるので、だいたいは「知らんがな」という反応になります。

こうした言葉に対して、いちいち真正面から受け止めていると時間も精神力も削がれてしまいます。なので、その場では真っ向から反論するわけでもなく、「そう思いますか」「そうなんですね」程度に流しつつ、自分の中で腑に落ちない限りは放置するに限ります。

その言葉が発信者のエゴで言っているのか、そうではないのかということはしっかり見極めるべきでしょう。他人のエゴに付き合うことほど無駄なことはありませんよ。

(3)その話を最後まで聞くべきかどうかの判断について

相手が熱弁をふるっているときに、「この話、最後まで聞くべきかな」と悩むことはないでしょうか。でも、話の腰を折るのも申し訳ないし、いつまで続くかも分からない。

そこで判断基準になるのは、「情報価値があるかどうか」です。自分の場合の情報価値は、「この話を誰かに伝えたら面白がってくれるかな」という部分。それは話の内容自体もそうですし、話している空間にも目を向けます。

語られている話がどんなに面白くなくても、例えば話している場所がちょっと変わったところだったりすると、それだけでエピソードとしての価値が帯びてきます。人があまりいかないところに行くべきなのは、その空間そのものに情報価値が帯びるからです。

(4)相手の背景を考える

これは4つのポイントの中で一番重要で、人はその人なりの妥当性と論理性の上に言葉を発すると僕は考えています。つまり、理由なく発せられた言葉はないということです。

「なんでそういう言葉を使ったんだろう」「どうしてこんなマウンティングを取ってくるんだろう」というときには、それなりに個人的な理由がある。じゃあその理由はなんだろう、と。「あちらが何をしたいのか」という目的をできるかぎり精度高く汲み取ることができれば、言葉に乗っかっていた感情の塊がドロドロと溶けていき、純粋な欲望のみを見極めることができるというわけです。

欲望はいつでも滑稽なものであり、味わい深いものです。だから、真正面で受け止めるのではなく、傍から見るようにすると良いですよ。

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金井元貴

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